肘内症・野球肘・テニス肘について
はせべ院長
上記の症状でお悩みの方から
よくいただくご質問にお答えします。
 
はせべ医院 院長

まずは、幼小児によく起こる肘の疾病を教えてください。

幼小児の肘のケガでよく見られるのは、肘内障と呼ばれる肘の脱臼です。赤ちゃんの手を上に引っ張った後や、転倒後に腕が上がらなくなることがよくあります。これは肘関節のなかにある橈骨頭と呼ばれる部分が、関節包と呼ばれる一種の袋から外れるために起こる現象です。赤ちゃんは痛みのために急に泣き出し、万歳の姿勢ができなくなります。このとき、ご両親は、肩の脱臼と間違いがちのようです。
このような場合はあわてずに整形外科専門医に相談してください。徒手整復されれば赤ちゃんは泣き止み、数分後に万歳ができるようになります。肘がかなり腫れているときは骨折の可能性がありますので、レントゲンで折れている部分を確認します。適切な処理をしないと、肘の動きが一生悪くなったり、肘が内側に曲がってしまう変形(内反肘)を残してしまうこともよくあります。

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自己判断は禁物ですね。では、成長期の子供たちにはどんなものがありますか?

そうですね、特に野球をしている子供たちに多くみられるのが、肘関節の離断性骨軟骨炎、俗に野球肘と呼ばれる疾病です。成長期の子供たちが、投球動作を無理に繰り返すことで肘の軟骨などを痛め、ひどくなると関節ネズミと呼ばれる軟骨の破片ができ、肘の痛みや動さの制限となるのです。肘に痛みを抱える野球少年の場合、多くは近日中に試合があるからとか、コーチやお父さんに投球を強制されるとかの理由で無理をしているように思えます。甲子園で多試合登板し活躍した投手が、プロに入ってから意外にも活躍できず引退してゆくのはこのような背景があるのです。ですから一日の投球数に制限を作り、痛みのある場合は早く整形外科専門医の診療を受け、レントゲン撮影によって各病期ごとの方針をきめてもらいましょう。軟骨の痛みの軽い初期であれば数週間の安静で事なきを得ますが、軟骨片が既に離れてしまっている遊離期に移行している場合は手術に踏み切る場合も少なくありません。とにかく焦らずに治療することが大切です。

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それでは、私たち大人に起こりうる肘の疾病とは?

はい、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)と呼ばれる疾病です。テニスでバックハンドの練習をした後などに、肘の外側に強い痛みが出ることがあります。また、急に慣れない手作業をしたり、手首を頻繁に動かす仕事をしたりと、テニスをしていない人にも多くみられます。手首を背屈させる筋肉を使いすぎることにより、その筋肉の付着している肘の外側に炎症を引き起こすのです。
まずは安静と消炎鎮痛処置で様子をみますが、この痛みの特徴は罹病期間が数ヶ月と長期に及ぶことです。やがて痛みはひきますが、決して白己診断せず専門医の指導を受けてみてください。装具による治療やリハビリ治療なども有効と思われます。

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