ばね指、腱鞘炎、強直母指について
はせべ院長
上記の症状でお悩みの方から
よくいただくご質問にお答えします。
 
はせべ医院 院長

最近左手の薬指がカクン、カクンとひっかかるような動きがあって痛いのですがどうしたのでしょうか。

はい、これは「ばね指」と呼ばれる腱鞘炎の症状です。指には、腱というヒモがあり、それによって指の曲げ伸ばしをすることができるのです。しかし、腱とその通り道である腱鞘との間で炎症をおこすと腱の通りが悪くなり指のつけ根に痛みをおこしたりひっかかるような現象(弾撥現象)がおこるのです。原因としては、仕事での指の使いすぎによる機械的刺激が主ですが、リウマチなどの炎症性疾患による場合も少なくありません。

また、大人のみならず乳幼児の親指にも時々認められ「強直母指」と呼ばれています。生下時に意外と気づかれず、l.2歳になって親がようやく気づくことが多く、あわてて赤ちゃんを外来に連れてこられる方もいらっしゃいます。

どのように治療をすればよいのでしょうか。

まず、指の使い過ぎに気をつけ、痛み止めの入った塗り薬をつけたり、副木を当て安静を図ったりします。痛みが頑固に続いたり、ひっかかる感じが強い場合は、ひとりで我慢せず早めに整形外科専門医に相談しましょう。短時間で終わる局所麻酔の手術が有効です。

放置しておくとどのようになりますか。

痛みが長く続く場合が多いでしょうし、指の関節が2次的に固くなり永続的に機能障害をおこす場合も少なくありません。

他にはどんな腱鞘炎がありますか。

「ドケルバン病」と呼ばれる腱鞘炎で、手首の甲の親指寄りの部位に強い圧痛があり、手首を小指側に曲げると同部位に強い痛みを生じる症状があります。これも親指を伸ばそうとする腱とその通り道である腱鞘との間の炎症です。これも「ばね指」と同じような治療をします。
原因の多くは、パソコンのキーボード操作などによる指の使いすぎや、女性の場合、妊娠時、産後、更年期などホルモン分泌に関係するといわれております。女性は男性に比べ7~10倍も発生率が高く、産後赤ちゃんの抱きかかえなどの動作が多くなると発症しやすいようですね。「ママの職業病」とも言われています。

検者が母指ごと、手首を小指側に曲げると痛みは一層強くなります。(フィンケルシュタインテスト)

いずれにせよ、早期発見をし早めに整形外科専門医に相談する事が大切ですね。

そうですね。自分勝手な判断をした為に痛くて不自由な時間を無駄に費やしてしまったり、指が2次的に固くなってしまい、日常生活や仕事に影響がでてしまう場合を多く見受けます。また、電気を当ててみたり、温めても有効ではありません。一人で悩んでばかりいないで、早く整形外科専門医の診察を受けてみる事をおすすめします。
患者さんが正しい認識を持ち適切な治療を受ける事ができれば、腱鞘炎は確実に治癒する疾病のひとつだと私は考えます。