手根管症候群について
はせべ院長
上記の症状でお悩みの方から
よくいただくご質問にお答えします。
 
はせべ医院 院長

私の知人が最近、右手の中指と薬指のしびれを訴えています。どんな疾病が考えられるのでしょうか?

手のしびれには、多くの原因が考えられます。脳や脊髄などの中枢神経の異常が原因のものと末梢神経の異常が原因のもとに分けられますが、手のひら側で、かつ母指から薬指(正確には薬指の中指側半分)にかけての特徴的なしびれが(図1)ある場合は「手根管症候群」と呼ばれる病気である可能性があります。

これは正中神経と呼ばれる手首の真中を通る神経が靭帯の下で圧迫されること(図2)で発症します。夜間などに強い痛みで起こされてしまうことも多いようです。

原因はなんでしょうか?

はっきりとした原因は不明ですが、手首の使い過ぎや妊娠中、お産の後、手首の骨折後などに出現しやすいとされています。

放置するとどのようになるのでしょうか?

正中神経には手のひらの母指側のふくらみを形成する筋肉(母指球筋)を動かす神経が含まれます。これも圧迫されるとふくらみが消え母指を動かす力が落ち、一生物をつまんだり、つかんだりすることができなくなることもあります。

治療法を教えてください。

まずは医師の診療を受けましょう。前述の症状のほかに神経の伝わる速度を測定する(図3)ことができます。手根管症候群であれば症状が軽い場合は、まず手首を固定するなどの治療を行います。しかし、それでも夜などに強い痛みがあったり、母指球筋のふくらみが消えた場合は手術をお勧めします。手術は状況にあった麻酔で行われ、神経を圧迫している靭帯を切離し神経を開放します。また、腱を移し母指の動きをとりもどすことも可能です。

ほかには、どのような手のしびれの病気がありますか?

薬指の小指側半分と小指がしびれていれば尺骨神経麻痺が考えられ、また手の甲がしびれていれば橈骨神経麻痺が考えられます。また、手の神経は首(頸椎)から分岐しますが、首の骨の変化や軟骨のでっぱり(ヘルニア)が存在すると神経が圧迫され、手にしびれが出現することも多く認められます。糖尿病などの内科的な病気により神経がいたみ、しびれが生じることもよく知られていることです。