ドケルバン病、キーンベック病、舟状骨骨折、TFCCについて
はせべ院長
上記の症状でお悩みの方から
よくいただくご質問にお答えします。
 
はせべ医院 院長

半年ほど前から手首の痛みを感じていたのですが放置してしまいました。
まだ、動かすと痛みを感じるのですがどんなことが考えられますか?

まず始めに手首(手関節)の構造を知っておく必要があります。手首は橈骨と尺骨および8つの手恨骨からなる複雑な関節です(図1)。骨と骨の間には軟骨があり滑らかに動く仕組みがあります。
また、手首の骨の周りには指を動かす腱が走行しています。痛みのある位置によりある程度どんな疾病であるか判断することが可能です。幾つかの代表的な疾病を紹介します。

ド・ケルバン病

手首の甲の親指側に痛みがあります。手首を小指側に曲げると強い痛みが誘発されます(図2)。これは、親指を伸ばそうとする腱とその通り道である腱鞘との間の炎症です。
主に手首の使いすぎや妊娠中・産後・更年期を迎えた女性に多く認められます。治療は副木などの保存療法や腱鞘切開術などの手術治療が挙げられます。

キーンベック病

手首のほぼ中央に痛みが続く場合に可能性があります。月状骨と呼ばれる手根骨のひとつ(図3)が、壊死をおこし痛みの原因となっているのです。手を良く使う労働者に多く認められます。早期に発見し進行状況に応じた治療が必要です。

舟状骨骨折

親指の付け恨付近に存在する舟状骨と呼ばれる手根骨のひとつ(図3)が、転倒するなどによる外力により骨折し、適切な治療がなされなかった為に、骨折部が癒合せず永続的な痛みが残存する場合があります。レントゲン撮影により骨折を的確に発見しておくことが大切です。骨折したままの状態(偽関節)に対しては手術治療(図4)が行われることもあります。

TFCC損傷

強く捻られたりすると手首の小指側にある三角形をした軟骨と靭帯の複合体(図3)が損傷し痛みが出現することが認められます。早期に副木固定をすることで痛みは軽減しますが、慢性化した場合は手術治療が適応となることもあります。

以上、放置されやすい手首の疾病を挙げましたが、他にもさまざまな炎症や外傷があります。いずれにせよ、早期に医師による診療・治療を受けることが大切です。